KONPAの先には②

扉を開けたその先には


同僚の男女4人と見知らぬ女性2人


困惑を隠せない私にビールでいい?と尋ねる同僚


「ああ、うん」と素っ気ない返事しかできず


促されるように先に着く


メニューを楽しそうに選ぶ周りをよそに


隣の同僚にどういうことか聞く私


なにやら同僚の女性が友達を呼んだようである


なーんだ、そんなことかと思いながらビールを待っている


ふと気が付く


「これは合コンってやつじゃなかろうか?」


意識すればするほどコンパにしか見えなくなってきた


嗚呼母さん、人生2回目のコンパだよ…


心の中でそう呟きビールを流し込んだ


話を聞くと急に呼ばれて来たとのこと


フットワークの軽い人は嫌いじゃないと思う反面


こんなに軽々しく他人様と食事が出来る彼女達を半ば尊敬の眼差しで見ていた


改めて自分の常識は非常識だと気付かされる


イマドキの若人はこうあるべきなのね、と


蟹を頬張りつつしゃぶしゃぶの野菜をよそう私


気遣いのできる男性を演じたいその一心でオタマを縦横無尽に振り回す


だいぶお酒も進みお互いの話をするようになった


なにやら福祉施設で働いているとのこと


ちゃんと仕事をして偉いなあと思う私は何者なのか


お会計を済ませ店外へ出る


女性陣の1人が代行を呼びたいが番号が分からないというので、私の携帯で調べ画面を見せる


その瞬間


私の肩に何やら柔らかな感触が


なんと私の肩に手をつきながら携帯を操作しているではないか


普通の男性なら気にも留めないことなのだろう


しかし私は恋愛童貞そのものである


こんなシチュエーションに耐えられるわけがない


必死に胸の高鳴りを抑えようとする


嗚呼これが恋愛のテクニックか、いかんいかんと自分に言い聞かせ


ただ時が過ぎるのを待った


淡い時間はわずかではあったが私には3日間に感じられた


それ程自分が恋愛下手なのかと落ち込むと同時に


こんな恋のスタートも悪くないと


足早にタクシーに乗り込んだ


タクシーの運転手に


「何かいいことでもありましたか?」


と聞かれたが


別に。と一言だけの素っ気ない私


沢尻エリカも同じ気持ちだったのかなと感傷に浸りながら家路につくのであった



コンパの先には