ラブワズライ

学校や職場で怒られることは多々あれど


アパレルショップで店員さんに泣くまで怒られる人間は稀有


遡ること一週間前


顔馴染みの4人で食事をする事に


男ABと女CD


ACからは前々からDと上手くやるようにと言われていた


理由は定かではないが


側から見ればおそらくお互いにとってそこが落とし所なのだろう


自分の評価は他人の評価で決まる


とすれば強ち間違いでは無いのだろう


恋愛って自分の意思なんて関係無い


恋に落ちるなんてアニメかドラマの観過ぎか


そんな思いを抱きながらいつもと変わらずさんぴん茶ハイを飲み干す


沖縄料理屋の小粋な歌を聴きながら近況を報告しつつ


トロトロのラフテーを頬張る


楽しい時間はあっという間で


各々帰宅時間となる


Cが帰り続いてAも帰る


Aの帰り際、ちゃんと送ってけよとの御達し


彼なりのお膳立てなのだろう


お会計を済ませタクシーを拾う


Dの自宅経由で帰路に着く


そういえばCからも、手を繋いで自宅に上がれば後はどうにでもなる


なんて親指を立てられて言われていたような


そんなことを考えながら窓の外をぼんやり眺める


結局手も繋がず勿論自宅に上がることなどしていない


いや、出来なかったのだろう


何か一言発していれば、一つ行動に移していれば


事は変わっていたのだろうか


そんな空想話を思い浮かべながら、虚しく布団に潜り込んだ


これで良かったとは言い切れない


しかしこのまま変わらない事も尚良しと思わなければ


遣り切れない


分かってはいたが、翌日ACから報告せよとの連絡


深い溜息をつきながら作戦失敗の旨を伝える


返ってきたのは同じ文面


結果は他人の評価で決まる


感謝の気持ちを伝えつつ反省の意を述べる私


皆が思う恋とは何ぞや


また寒い夏を過ごすのかと澄み渡る空を見上げるのであった


後日Cの職場で会う機会があった


まだ営業中だというのに作戦失敗の件を鬼の剣幕で捲し立てられる


嗚呼どこにでも鬼はいるんだなあと感慨に耽ながら


涙を流すのであった



次回

ヒトとヒトとヒトと僕